一年で一番寒さが厳しい季節。 私が体を温めたいときに重宝しているスパイスが八角です。 強力な抗ウイルス作用があり、インフルエンザの薬のタミフルの原料でもあります。 冬は漢方的にホルモンバランスや老化を司る「腎」の働きが弱くなりやすい季節で、腎が原気(元気)の元となることから「寒さや冷えが老化を招く」とも言われます。 八角にはその腎を補う作用があり、これらが原因となる腰痛や腹痛を改善したり、食欲不振、血行障害などの治療にも用いられています。 お好みの野菜を入れた塩味のスープに八角を一つ入れるだけで、冬にぴったりな薬膳スープが出来上がります。 棒々鶏を作るときに八角を入れると、風味がついてさらに美味しくなりますよ。ぜひお試しください。 インフルエンザに麻黄湯 きゅうりのスープ 湯(タン)の力 夏にぴったりな、薬膳スープをご紹介します。 〜作り方〜 骨付肉を深鍋に入れ、水を加えて煮立たせ、アクを取ったら長ネギの青い部分を加えて1時間ほど煮出し、スープを取る。 きゅうりは皮をむいてスプーンで種を取り、大きめにカット。スープに加え柔らかく煮えたら胡椒と塩で味を整える。 とっても簡単!きゅうりをゴーヤに変えると苦瓜腓骨湯になりますし、冬瓜でも同じくできます。 どれも体を強く冷やす寒性の野菜なので、熱性の胡椒がとても良く合います。(白胡椒がおすすめです) 細いきゅうりより写真のように種が入った太いきゅうりがよりおいしくできます。ちなみにきゅうりやゴーヤのような苦い食材は、辛い生薬と組み合わせると薬効が広がるので、その点でも胡椒は理にかなっています。 サラダだけでなく、レパートリーを増やして旬のきゅうりをおいしくいただきましょう。 足のむくみを取りたい そろそろ新茶の季節ですね。 昔から新茶を飲むと病気にならないとか長生きできると言われています。 冬の間に養分を蓄え一番最初に芽吹いた茶葉は、その後摘まれるものよりも栄養価が高いので、立春から数えて88日目頃に摘まれるその年最初のお茶は特に体によく、縁起の良いものとされていたそうです。 これに加え、緑茶のカテキンには高い殺菌力があり、ハーブの専門家は緑茶を「最高の浄化のハーブ」といったりもします。 なので、私は施術の前後の飲み物は急須で入れた温かい緑茶をおすすめしています。 今年の八十八夜は5月2日。GWのイベント沢山で忙しいときですが、日本各地のおいしい新茶が店に出回ります。 木の芽時で不安定になりやすいこの季節、新茶のパワーを取り入れて元気にお過ごしください。 桜の開花宣言が出て本格的に春の気候になってきましたね。
今日は東洋医学的な「春の上手な過ごし方」についてです。 東洋医学では、体の働きごとに肝・心・脾・肺・腎と名前を付けて、それぞれ季節を当てはめています。 春は「肝」が働きすぎて弱ってしまうため、これをうまく補ってあげることが春をうまく乗り切るポイントです。 「肝」は血を司っているため、春は血のトラブルが多くなります。骨盤が開き、ホルモンバランスなども影響が出る場合があるため、女性の方は特に要注意ですね。 また、肝は怒りの感情ともリンクしているので、怒りすぎは肝をより弱らせてしまいます。目や筋にも影響がでるので充血やぎっくり腰などが増えるのも納得です。 その「肝」を補うとされているものが「酸味」です。 なので、疲労感が取れない、イライラ怒りっぽいなどという春の不定愁訴には、お酢を使ったお料理や、柑橘類などが良いとされています。 また、山菜などアクが強く苦味のある食材をとることで、冬の間に溜まった不要な物を排出し血液が浄化されて体が目覚めると考えられているため、フキ、うど、筍などの春食材もおすすめです。(結石の持病のある方は食べ過ぎに注意してください。) ちなみにこの「肝」の経絡は、足の親指から始まり脚の前側を通ってお腹まで行っているので、ここをよくストレッチするのも春の対策として効果的です。(肝経はタイのエネルギーライン「セン」で、脚の内側ファーストラインに相当します。ただし頸骨上を通過します。) また、肝経は胆経と関連が強く両方取ると相乗効果があります。胆経は足の第四指から始まり体の側面を通って、耳の周りをぐるぐる回り、目まで行く経絡です。(胆経はタイのエネルギーライン「セン」で、脚の外側サードラインに相当します。) なので脇腹など体の側面を伸ばす、首を横に倒すストレッチも二次的に肝に刺激が入ります。 タイ古式の定番、↓のようなストレッチ技は、まさに春にピッタリですね。 ということで、脚前面や体側をよくストレッチし、酸味や苦味をうまく利用して、イライラしないよう春をお過ごしください。春風の当たりすぎも「肝」を弱らせますから、お花見など暖かくしてお出掛けくださいね。 みかんが美味しい季節ですね。 先日無農薬のみかんが手に入ったので陳皮を作ってみたのですが、これがなかなか使えます。 陳皮とは、みかんの皮を乾燥させたもので漢方薬にも使われています。本来は数ヶ月〜数年干す必要があるのですが、きれいに洗って表面の皮の部分を薄くむき、数日乾かすだけでもお手軽陳皮が出来上がります。 きっかけは銀座六雁の板前さんに「カブの粕汁に使うと美味しい」とお聞きしたことだったのですが、家庭の味が一気にお店の味にランクアップするので、それ以来我が家ではゆずの代わりに陳皮を使うことが多くなりました。 みかんの果実はビタミンCやクエン酸が豊富なため風邪予防にぴったりですが、薬膳では皮のほうが重視されます。皮は気血のめぐりを促す働きがあるので、血行の悪い方は陳皮を紅茶に入れて飲んだり、入浴剤にしていただくのも良いと思います。ぬか床に入れるのもおすすめですよ。 台湾人の料理方法を見ていて感じた事があります。スープを作るためにお湯を沸かすのですが、沸騰したあともお湯を更にグツグツ火にかけ続けるのです。 まるで水に十分に”火の気”を移すように。 そうして出来上がった”湯(タン)”に、材料を入れ、火が通ったらほんの少しの塩を加える。ただこれだけなのですが、本当にカラダに染み入る味わい深いスープが出来上がります。 これ以降、私の料理に対する考え方はガラッと変わりました。元々栄養の勉強をしていただけに、頭は完全に栄養素やカロリーが中心でしたが、実際日々の食事に大切なのはそれよりも、体調や季節に応じた食材・味付け・調理法のチョイスではないか、と考えるようになりました。 病気になってしまったら数字的なコントロールは必要です。でも未病の段階でカラダを立て直すにはもっとシンプルに、煮るか蒸すか、温かいか冷たいか、しょっぱいか甘いか、そういうことでいいんだと思います。 一年中サラダを食べていれば健康なんてことはありません。テレビの健康情報を鵜呑みにするより、まず自分の体に聞くことから始め、湯(タン)の力を、冬を元気に乗り切るために取り入れてみてください。 冬の冷えが辛い方に〜八角のスープ〜 きゅうりのスープ〜胡椒〜 |